ゴッホ展2021響きあう魂ヘレーネとフィンセントに行きました!クレラー=ミュラー美術館からファン・ゴッホらの作品が来日!


東京都美術館

ヘレーネ・クレラー=ミュラーは、ファン・ゴッホ作品の世界最大の個人収集家です。彼女の設立したクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、ファン・ゴッホの油彩画28点と素描・版画20点を。また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの作品20点を。さらに、ファン・ゴッホ美術館から《黄色い家(通り)》を含む4点を展示します。

ゴッホ展の感想と解説!

「ゴッホ展―響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」

私はヘレーネを知りませんでした。フィンセントより前に名前がある、キーパーソンです。

ゴッホ展は2017〜2018年に、札幌・東京・京都で「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が開催されました。ファン・ゴッホは、パリ時代からアルル時代前半まで日本に関心を持ちます。浮世絵などを収集し自らの作品に取り入れました。「ファン・ゴッホと浮世絵展」です。

フィンセント・ファン・ゴッホ(55)《糸杉に囲まれた果樹園》

作品の所蔵先にクレラー=ミュラー美術館がありました。今回のヘレーネ展にもあるものは(55)《糸杉の見える花咲く果樹園》(上図)(64)《草むらの中の幹》です。

また、1929年にハーグ本社に隣接する建物(ランゲ・フォールハウト1番地)で開催された、ファン・ゴッホ展の芳名録の展示もありました。そこには日本人20名ほどの署名が残されていました。ヘレーネ展の図録のSection2・3の扉に使われている展覧会を、日本人が現地までおもむき鑑賞していたのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ(25)《コーヒーを飲む老人》

2019〜2020年には、東京・兵庫で「ゴッホ展」が開催されました。東京展では「人生を変えたふたつの出会い」、兵庫展では「ハーグ、そしてパリ。ゴッホへの道ー」をサブタイトルとしています。

オランダで活躍していたハーグ派や、フランスに発した印象派の画家たちとの出会いと交流から、ファン・ゴッホが独自のスタイルを確立するまでをたどりました。「ファン・ゴッホとハーグ派・印象派展」です。

クレラー=ミュラー美術館蔵で、ヘレーネ展にもあるものは(45)《白い帽子を被った女の顔》(57)《サント=マリ-=ド=ラ=メールの眺め》(60)《サン=レミの療養院の庭》(63)《夕暮れの松の木》です。

ヘレーネ展にないものは数えていませんので、まだあります。私は普段作品の所蔵先まで見ていません。これらを、クレラー=ミュラーとは知らずに鑑賞していたのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ(67)《夜のプロヴァンスの田舎道》

ファン・ゴッホは生涯に油彩画を約860点、水彩画を約150点、素描を約1030点、版画を約10点残しました。

ファン・ゴッホ美術館は弟のテオ、その妻ヨーが引き継いだコレクションを核としています。ファン・ゴッホの油彩画を約200点、素描を約500点、書簡を約700点収蔵しており世界最大を誇ります。

フィンセント・ファン・ゴッホ(72)《黄色い家(通り)》

ヘレーネ展には特別出品として (69)《ニューネンの牧師館》(70)《モンマルトル:風車とサイエン》(71)《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》(72)《黄色い家(通り)》(上図)があります。

フローリス・フェルステル(1)《ヘレーネ・クレラー=ミュラーの肖像》

クレラー=ミュラー美術館は、実業家の妻ヘレーネ・クレラー=ミュラー(上図)が築いた11,000点を超えるコレクションから始まります。ファン・ゴッホの油彩画を83点、素描を174点、版画を3点収蔵しています。

フィンセント・ファン・ゴッホ(51)《青い花瓶の花》

ヘレーネは富豪夫人でしたが、美術館を開館するまで道のりは平坦ではありませんでした。「この美術館は悲しみから生まれた」と記しています。

ヘレーネは子どもの頃に、両親から宗教告白を強制させられ、また教職に就くことを否定されます。そのため、個人的な宗教性を追求するようになりました。

37歳のときに、長女の美術教師ヘンク・ブレマーから近代美術の講義を受け、作品は精神的なものを伝えることが重要だと知ります。そして、ファン・ゴッホの作品を紹介されました。(42)《森のはずれ》はヘレーネが最初に入手した作品です。

42歳のときに悪性腫瘍のため入院します。病気を克服したら美術館を建てると決意をしました。翌年になり、家に収まり切らなくなったコレクションを、ハーグ本社に隣接する建物(ランゲ・フォールハウト1番地)に展示し一般市民にも公開しました。

フィンセント・ファン・ゴッホ(52)《レストランの内部》

以前購入した広大な農地、ホーヘ・フェルウェに美術館の基礎工事を始めましたが、ミュラー社が経済的苦境に陥り中止となりました。

ヘレーネ夫妻は、コレクションをオランダ国家に寄贈することと引き換えに、オランダ政府が美術館を建設することを提案しました。ランダ政府は規模を縮小した美術館の建設に同意します。

1938年に、クレラー=ミュラー美術館が開館し、ヘレーネが初代館長になります。翌年70歳で息を引き取りました。

ヘレーネの悲しみは、ファン・ゴッホを始めとするコレクションへの扉を開き、それを公開することにより彼女を一女性から世界的なコレクターへと押し上げました。美術館は1961年に彫刻庭園を開園、1970年代にはコンセプチュアル・アートと、ミニマル・アートの展示室が増設されます。ヘレーネの意思は引き継がれ、多くの人たちに美術を鑑賞する場所と機会を創り出しました。

フィンセント・ファン・ゴッホ(58)《種まく人》

ゴッホ展の図録をデサインマニアが分析!

・おもて表紙(上図右)は(67)《夜のプロヴァンスの田舎道》の部分拡大です。背を通り裏表紙まで続いています。表面は透明インクで、筆跡に合わせた盛り上がりを持たせています。

タイトルは、欧文だけが金色の箔押しで記されています。光の当たり具合で、タイトル周りが矩形に囲まれていることが分かります。

和文表記がないため表紙だけ見ると洋書のようです。和文タイトルは背表紙に白抜きで置かれています。

うら表紙はおもての作品の続きと、左1/3は緑色が引かれています。緑色は作品の中から選んだのでしょう。


京王井の頭線「渋谷駅」

・各章の扉はヘレーネの時代のモノクロ写真で飾られています。会場にも展示がありました。

Section1はヘレーネと美術教師ヘンク・ブレマーの紹介です。写真は白馬に乗り手綱を引くヘレーネです。

Section2は写実主義からキュビズムまで、Section3はゴッホのコレクションです。写真はどちらもハーグのミュラー本社に隣接する建物(ランゲ・フォールハウト1番地)での展示の様子です。美術館が開館する前の、1913年から1933年まで使われていました。

Section4はファン・ゴッホ家のコレクションです。写真は、夫テオを亡くしたヨー・ファン・ゴッホ=ヨンケルと、ヨーが再婚したヨハン・コーヘン・ホッスハルク、息子のフィンセント・ウィレムがアムステルダムの自宅でテーブルを囲んでいます。フィンセント・ウィレムは財団を設立し、アムステルダムにファン・ゴッホ美術館を開館します。


京王井の頭線「渋谷駅」

・1938年に開館した、クレラー=ミュラー美術館の展示室の様子がモノクロ見開きで掲載されています。観音開きになっています。

・開けると4ページで「クレラー=ミュラー夫妻が購入したファン・ゴッホ作品」が図式化されています。会場にもありました。

購入年ごとに正円の中に作品名・価格が、その下に購入点数と総額が記されています。1912年・1920年・1928年は、購入点数が多く正円が大きくなっています。展示されている作品は小さく画像が添えられています。

・ページを移ると、晩年のヘレーネと夫アントンが睦まじく並んで歩く姿がありました。

ソフトカバー/ W225mm × H297mm/ モノクロ・カラー/ 244ページ/ 日・英
価格:2,400円(税込)展覧会オリジナル図録袋付き

ゴッホ展のグッズは何がある?

ファン・ゴッホとゴーガンが、2か月間共同生活をした《黄色い家》がストラップになっていました。作品では緑色の窓のある側が正面を向いています。
880円(税込)

Twitterの「ゴッホ展グッズ情報公式アカウント」で、グッズの最新情報がつぶやかれています。

ゴッホ展の混雑状況は?

ビッグデータから

混雑状況を、ビッグデータから解析するサイトを見ます。

「あの展覧会混んでる?」

グーグルマップから

混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「東京都美術館」「福岡市美術館」「名古屋市美術館」を検索して開きます。


東京都美術館

ゴッホ展の所用時間は?

90~120分


東京都美術館

ゴッホ展のチケットはいくら?

東京会場

観覧料(税込)
一般2,000円/ 大学生・専門学校生1,300円/ 65歳以上1,200円

※高校生以下無料(日時指定予約必要)。未就学児は日時指定予約不要。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳の所有者とその付添い(1名まで)は無料(日時指定予約は不要)。
※高校生、大学生・専門学校生、65 歳以上の者、各種手帳を所有者は、証明できるものを提示。

福岡会場

観覧料(税込)
一般2,000円/ 高大生1,300円/ 小中生800円

平日に入場
・会期中の平日のみ有効なチケット。
・日時指定は不要。但し、当日の状況により入場を待つこともある。

土日祝日、1月2日・3日に入場
・ARTNEチケットオンライン、ローソンチケットによる日時指定チケットの事前予約を推奨。
入場希望の日付と時間帯を選択して購入。各入場時間枠毎に販売数に上限がある。
※「身体障害者手帳」や「招待券」など無料の者も対象(ARTNEチケットオンラインのみで受付)。
※ローソンチケットは来場前日までの取扱。
・当日、会場での購入は状況により待つこともある。
・販売所ごとの取り扱い枚数には限りがある。

名古屋会場

未定


上野公園

ゴッホ展の会場・巡回先はここ

東京会場 2021年9月18日(土)〜12月12日(日)

東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)

開室時間
9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

夜間開室
10月15日(金)より、毎週金曜日20:00まで開室(入室は閉室の30分前まで)。

休室日
月曜日
11月8日(月)、11月22日(月)、11月29日(月)は開室

アクセス
JR「上野駅」公園口より徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分
京成電鉄京成「上野駅」より徒歩10分

福岡会場 2021年12月23日(木)~2022年2月13日(日)

福岡市美術館
〒810-0051 福岡市中央区大濠公園1-6
Tel.092-714-6051(代表)
Fax.092-714-6071

開館時間
9:30~17:30 7~10月の金・土曜日は20:00時まで(入館は閉館の30分前まで)

休館日
月曜日 (月曜日が祝日・振替休日の場合は、その後の最初の平日)、12月28日~1月4日

アクセス
福岡市地下鉄

空港線
○「福岡空港駅」より「大濠公園駅」(福岡市美術館口)下車、3・6番出口より徒歩10分
○「博多駅」より「大濠公園駅」(福岡市美術館口)下車、3・6番出口より徒歩10分
○「天神駅」より「大濠公園駅」(福岡市美術館口)下車、3・6番出口より徒歩10分
七隈線
○「天神南駅」より「六本松駅」下車、2番出口より徒歩10分

西鉄バス
博多駅から
○「博多バスターミナル2のりば」より13番に乗車、「福岡市美術館東口」下車、徒歩3分
○「博多バスターミナル2のりば」より12番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「博多バスターミナル4のりば」より113・114・200・201・202・203・204・208番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「博多駅前Aのりば」より6番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「博多駅前Aのりば」より6-1番に乗車、「福岡城・NHK放送センター入口」下車、徒歩3分
天神から
○「天神福ビル前」「天神協和ビル前」より13・140番に乗車、「福岡市美術館東口」下車、徒歩3分
○「天神福ビル前」「天神協和ビル前」より12番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「天神コア前」より7・201・204・205・206・208番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「天神警固神社・三越前」より6・7・113・114・200・201・202・203・204・205・206・208番に乗車、「赤坂三丁目」下車、徒歩5分
○「天神警固神社・三越前」より6−1番に乗車、「福岡城・NHK放送センター入口」下車、徒歩3分
※「福岡市美術館東口」「赤坂三丁目」ともに快速は停車しない

都市高速
○西公園ランプ (唐津方面行きのみ降車可能)で降車、南方向へ車で5分
○百道ランプ(東西両方向降車可能)で降車、南東方向へ車で10分

名古屋会場 2022年2月23日(水)〜4月10日(日)

名古屋市美術館
〒460-0008 名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)
Tel.052-212-0001
Fax.  052-212-0005

開館時間
10:00~17:00 ただし金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)

休館日
月曜日 (祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)

アクセス
地下鉄
地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」下車、5番出口から南へ徒歩8分
地下鉄鶴舞線「大須観音」下車、2番出口から北へ徒歩7分
地下鉄名城線「矢場町」下車、4番出口から西へ徒歩10分