岡本太郎展2022の感想と解説!太陽の塔、明日の神話などで知られる芸術家・岡本太郎の史上最大の回顧展!

展覧会 岡本太郎」は、《太陽の塔》《明日の神話》などで知られる芸術家・岡本太郎の史上最大の回顧展です。戦災で消失し再制作されたパリ時代の4点、近年パリで発見された3点を始め、絵画・彫刻・著書・アイデアスケッチ・インテリアなどが並びます。

岡本太郎展2022の感想と解説!

《空間》(1-2)1934/54年

○闇の中に浮かび上がる、ふたつの物体です。ひとつは、布地の表裏にも見えます。白い鳥のように見えなくもありません。生物のように広がる曲面は周りの空気を包み込み、ゆっくりと降下していきます。

もうひとつはシルバーの円柱です。その場に真っ直ぐに伸びた硬質の棒は、繊細さを保ちながら空間に緊張感をあたえます。

岡本は、これらふたつの抽象的造形で有機と無機、柔質と硬質、動と静、弛緩(しかん)と緊張などの対比を描きました。

《露天》(1-5)1937/49年

岡本の1930年から10年間におよぶ、パリ滞在期の作品は東京の戦火で消失します。後年、《空間》(1-2)・《コントルポアン》(1-3)・《痛ましき腕》(1-4)(下図)・《露天》(1-5)(上図)の4点が再制作されました。

《露天》は岡本により1983年に、ニューヨークのグッケンハイム美術館に寄贈されます。

《痛ましき腕》(1-4)1936/49年

《森の掟》(2-14)1950年

○岡本キャラの多様性を垣間見る森の光景です。画面左には、数本の枝を伸ばす樹木があります。いや、目もあり口もありで、のけぞってもいるので紛れもなくキャラです。

そこには、背にネジ巻きとゾウの鼻を持つネコもどきや、体躯がゆるやかな波形を描く薄紫のサンカクミミ、2枚の羽根を持つ黄色のヒトツメ、泳ぐ少年、子持ち縞のネコなどがいます。

《夜》(2-4)1947年

背後には『宇宙人東京に現る』のパイラ人を思わせる茶色のヒトデ、足元を疾走するボルトは四足です。

画面右には、先端を尖らせた幹があり、3本指の左手を掲げています。根は左右に大きく分かれ洞窟状の空間を持っています。その中に3匹のキカザルもどきが身を潜めています。前方には平らなブイジガオが、恐怖におののき飛び立ちます。

《燃える人》(2-26)1955年

彼らをのけぞらせたり、泳がせたり、疾走させたり、恐怖におののかせたりするのは、画面中央に滑りこみサンカクミミを捕食する、赤いファスナーもどきです。

画中で唯一写実的に描かれているのは、ファスナーもどきの背を閉じる金属のファスナーです。岡本はファスナーの上止め金具が、犬の鼻に似ていることを見逃しませんでした。

《愛》(2-29)1961年

メタリックで緻密な描写は、森のゆるかわな空気を一蹴します。閉じたファスナーは、ファスナーもどきに真相を隠蔽させ、森の掟を固守しているのでしょうか。

《予感》(3-10)1963年

○作品にホワイトスペースが生じています。中央に描かれているのは「西」でも「悪」でもありません。岡本は文字や図形と生物の折衷を描きました。

画面左上は「水」のようでもカメのようでもあります。隣は6つの円をつないだムカデです。その右下の短いラインの集合体は、上層に白色が重ねてあることから発光を思わせます。中央は、爬虫類など長い尾を持った生物を表す象形文字のようです。

《太陽の塔》(5-1)1970年

右1/3ほどに赤と黒のラインが「K」を描くように接しています。黒のラインの跳ねが次第に細くなり、右隣に湾曲する龍のような生物の両足になっています。龍の頭上の「X」は鳥でしょう。眼下には樹木が蕾をほころばせています。

中央右上の臙脂色(えんじいろ)と、左1/3ほどにある赤は放射線状に塗られています。濃緑色(こみどりいろ)のカメと、この部分は色が形を持っています。

《雷神》(6-23)1955年(未完)

画面左の黄色・赤色・青色・紫色は、原色のまま筆触を残し隙間を埋めるように置かれています。対して中央右下のジグザグから「K」をはさみ樹木までの色彩は、淡彩が混ざり合い透明感が拡散されていきます。

形と色が独立して置かれ、それぞれの抑揚が響き合いながら横長の画面を絶妙に構成しています。

岡本太郎展2022の図録をデサインマニアが分析!

○表紙は赤色の厚口マット紙に、岡本の筆触をシルバーに変えたものが置かれています。図録を伏せて折り返しを開くと、折り返し・表表紙・背表紙・裏表紙・折り返しと5面がひと続きになり、筆触を置いた横長の面が現れます。隠されたデザインです。岡本の迫力のある筆使いが、流れるように小さな図録全体を包み込みます。

タイトルは欧文と和文が併記されています。『OKAMOTO TAROU A Retorospective 展覧会 岡本太郎』。展覧会を「Exhibition」とはせずに「Retorospective」としました。回顧展の意味です。欧文は筆触とは打って変わり、繊細な書体「URW DIN Arabic Light」がシルバーで箔押しされています。

○ページを開くと黒のマット紙が6ページ続きます。見開きの紙面にブロンズのメタリックインクで、筆触が広く置かれています。次の見開きは、右ページのみにシルバーで筆触が置かれ欧文タイトルが抜かれています。

次の見開きは、左ページは黒のマット紙ですが、右ページは黒のコート紙に変わります。コート紙の方が作品の再現性が高いからです。

○作品のページは前触れもなく、モノクロ写真《羽黒山の松例祭/出羽三山》(3-4-74)から始まります。雪の夜に、法衣をまとった修験者が杖を片手に歩んできます。第3章「人間の根源 呪力の魅惑」に分けられる作品です。

《足場》(2-19)1952年

向かいのページは《足場》(2-19)(上図)です。ふたつ並んだボルトが、目のようにも見えますが抽象画です。第2章「想像の孤独 日本の文化を挑発する」に分けられます。一見なんの関わりもないこれら2点を左右に並べた理由は、雪とボルトに見られる白い円でしょうか。掲載される順序は章立てとは関係なく進みます。

左《若い太陽の塔》(4-26)1969年

各ページには、ノンブル(ページ番号)の他に作品の通し番号があるだけです。作品の解説どころかタイトルも記されていません。

《空間》(1-2)は006ページに掲載されていますが、少し飛んで012・013ページには部分拡大があります。《こどもの樹》(4-35)は、東京・青山にありし日の「こどもの城」を背景に収められています。

《太陽の塔構想スケッチ》(5-3-5)

大屋根を従えた《太陽の塔》の向かいのページは、片観音折り4ページです。ホテルの便箋に鉛筆で描かれた《太陽の塔構想スケッチ》(5-3)(上図)と《生命の木 全景模型》(5−3)があります。

《明日の神話ドローイング》(5-8)1967年

さらに、《明日の神話ドローイング》(5-8)(上図)4ページと「黒い太陽」を臨む《太陽の塔》の背があります。それぞれの4ページは裏面で8ページとして繋がり、《明日の神話》(5-10)(下図)を掲載しています。図録の判型が小さいためかえって大迫力です。

《明日の神話》(5-10)1968年

○本編は、後半2/5ほどにまとめられています。目次もここからです(驚)。各章は赤・黄土色・緑などの単色に筆触を置いた扉から始まります。多くの作品は、タイトルにスペックと小さなカラー図版に解説が添えられ、1ページに4点が掲載されています。

ソフトカバー/ W182mm × H182mm/ モノクロ・カラー/ 322ページ/ 日・英
2,800円(税込)

岡本太郎展2022の混雑状況は?

私は平日の午前中に入館しましたが、空いていました。

混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「⼤阪中之島美術館」「東京都美術館」「愛知県美術館」を検索して開きます。

岡本太郎展2022の所用時間は?

90〜120分

私は11:17から13:35で鑑賞しました。

岡本太郎展2022のチケットはいくら?

大阪展

当日券
一般1,800円/ 大学・高校生1,400円

団体券
一般1,600円/ 大学・高校生1,200円

*団体は20名以上。大阪中之島美術館公式ホームページから団体受付フォームで問い合わせる。
*予約不要の当日券(数量限定)も会場で購入できる。
*中学生以下は無料。
*障がい者手帳などを持参者(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。
*一般以外の料金の観覧者は証明できるものを当日ご提示する。
*本展は、大阪市内在住の65歳以上も一般料金が必要。

東京展

未定

愛知展

未定

※渋谷マークシティ連絡通路内の《明日の神話》です。「展覧会 岡本太郎」に展示はありません。

岡本太郎展2022の会場・巡回先はここ

大阪展

会期
2022年7⽉23⽇(土)~10⽉2⽇(日)

⼤阪中之島美術館
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1
Tel. 06-6479-0550(代表)(9:15~18:00)

開館時間
10:00~18:00(入場は17:30まで)

休館日
月曜日(祝日の場合は翌平日)

アクセス
電車
○京阪
・中之島線「渡辺橋駅」2番出口より南西へ徒歩約5分
・「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○Osaka Metro
・四つ橋線「肥後橋駅」4番出口より西へ徒歩約10分
・御堂筋線「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○JR
・大阪環状線「福島駅」/東西線「新福島駅」2番出口より南へ徒歩約10分
・「大阪駅」より南西へ徒歩約20分
○阪神
・「福島駅」より南へ徒歩約10分
・「梅田駅」より南西へ徒歩約15分
○阪急
・梅田駅より南西へ徒歩約20分
バス
○大阪シティバス
JR「大阪駅」前より53号・75号系統で「田蓑橋」下車、南西へ徒歩約2分
※帰路のJR「大阪駅」方面最寄バス停は「渡辺橋」から

東京展

会期
2022年10⽉18⽇(火)~12⽉28⽇(水)

東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
Tel.03-5541-8600(ハローダイヤル)

開室時間
9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

休室日
月曜日休室(祝日・振替休日の場合は翌日)

アクセス
JR「上野駅」公園口より徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分
京成電鉄京成「上野駅」より徒歩10分

愛知展

会期
2023年1⽉14⽇(土)~3⽉14⽇(火)

愛知県美術館
〒461-8525 名古屋市東区東桜一丁目13番2号
Tel. 052-971-5511(代)

開館時間
10:00~18:00、金曜日は20:00まで
(入館は閉館の30分前まで)

休館日
毎週月曜日

アクセス
○地下鉄
東山線または名城線「栄駅」下車、徒歩3分
(オアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由)
○名古屋鉄道
瀬戸線「栄町駅」下車、徒歩2分
(オアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由)