水木しげる展2022に行ってきました!水木の描いた日本の妖怪たちの出自を紐解く!妖怪画100点以上を一挙公開!

「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 お化けたちはこうして生まれた」は、水木が所蔵する妖怪関係資料を初公開、描いた妖怪画を100点以上にわたって一挙公開します。

水木しげる展2022の感想と解説!

○第2章「古書店妖怪探訪」では、水木に影響をあたえた絵師・研究者と所蔵した書籍が紹介されています。書籍のいくつかは、今では文庫や電子書籍で手にすることができます。

貸本漫画家となり、神田の古書店街で柳田國男の『妖怪談義』、鳥山石燕(とりやませきえん)の『画図百鬼夜行』などに出会いました。前者は幼年期の記憶を呼びさまし、後者により自らも妖怪を描くようになりました。


天空の水木しげるロード

「妖怪は、ほんらい、怪獣なんかのように創作されるべきではないと思う。妖怪は、昔の人の残した遺産だから、その形を尊重し、後世に伝えるのがよい」と水木は述べています。

○鳥山石燕は、江戸時代中期の浮世絵師です。江戸に生まれ、狩野派の門人として狩野周信(ちかのぶ)・狩野玉燕より絵を、東流斎燕志より俳諧を学びました。

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石燕は『画図百鬼夜行』(上図)により、妖怪絵師としての不動の地位を築きます。『今昔画図続百鬼』『今昔百鬼拾遺』『百器徒然袋』を続けて刊行しました。

○竹原春泉斎(たけはらしゅんせんさい)は、江戸時代後期の大坂の絵師です。名所図会(ずえ)の絵師として知られる、竹原春朝斎の子息で門人として絵を学びました。

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『東海道名所図会』『二十四輩順拝図会』などを描いています。妖怪関係では『絵本百物語(桃山人夜話)』(上図)が知られています。


フォトスポット

○柳田國男は、日本の民俗学の創始者です。農商務省などを経て朝日新聞論説委員となります。その後は民俗学に専念し、民俗学研究所を設立しました。

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宮崎県椎葉村(しいばそん)で狩の故実を聞き書きした『後狩詞記(のちのかりことばのき)』、岩手県遠野地方に伝わる逸話・伝承などを記した『遠野物語』を著しました。妖怪関係では『妖怪談義』(上図)『山島民譚集』『一目小僧その他』があります。


妖怪の森cafe

○井上円了(いのうええんりょう)は、明治・大正時代の仏教哲学者、教育者です。越後(新潟県)の慈光寺に生まれました。

京都東本願寺の国内留学生として東京大学の哲学科に入学します。在学中に哲学会を組織し、仏教の復権をめざしました。東京湯島に哲学館(現東洋大)を創立します。迷信否定のため『妖怪学講義録』を著し、妖怪博士と称されました。

「私はこの人がこんなに妖怪を集められたことに対し尊敬しているが、妖怪を否定されたことについては不満である」と水木は述べています。

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水木しげる展2022の図録をデサインマニアが分析!

○表表紙は画面を上下に分割して構成されています。上は背景色が黒で、左上に黄色の水木しげる生誕100周年記念ロゴが輝いています。《海月の火の玉(くらげのひのたま)》(p.53)《傘化け》(p.78)《べとべとさん》(p.51)が切り抜かれ、タイトル文字をはさみ並んでいます。下は不気味な形相の《大入道》(p.58)が雪山をまたぎます。黒い体躯は上の背景色と呼応しています。

背表紙には《倉ぼっこ》(p.81)が小さく、裏表紙には《竹切狸》(p.59)がコマ割りで置かれています。

○開くと表表紙と同様に分割され、上はハーフトーンの青の背景色にタイトル、下は水木が70代のときの仕事中のポートレートがあります。積まれた資料の上には《小豆洗い》(p.38)と《化け草履》(p.79)、部屋の隅には再び《倉ぼっこ》、《一反木綿》(p.51)(下図)は宙を舞っています。

水木のポートレートはモノクロで、これらの妖怪はカラーの図版から連れてきました。

○各章の扉は白地に角丸の色面を置き、大きめのタイトルと解説文に図版が1点で構成されています。

第1章「水木しげるの妖怪人生」は、薄緑の色面に幼年期の水木と親戚たちとの記念撮影の図版(下図)が載せられています。

第2章「古書店妖怪探訪」は、水色に1964年の神田神保町の古書店の連なる風景です。

第4章「水木しげるの百鬼夜行」は淡い青に《大入道》。第5章「妖怪は永遠に」は薄茶色に80代頃の夫婦のツーショットです。

○第3章「水木しげるの妖怪工房」は、水木の3パターンある創作方法を紹介しています。

「絵師達から継承」は、水木が過去の絵師から踏襲し描いた妖怪です。《あかなめ》(p.35)は鳥山石燕『画図百鬼夜行』、《幽霊赤児》(p.36)は与謝蕪村『蕪村妖怪絵巻』、《提灯お岩》(p.37)は葛飾北斎『百物語』(上図)、《小豆洗い》(p.38)は竹原春泉斎『絵本百物語』(下図)に取材しました。

「様々な資料から創作」は、妖怪とは直接関係のない民族の仮面・像、江戸の根付、浮世絵などを参考に描きました。《砂かけ婆》(p.45)は三重県伊賀市の上野天神祭の笠持ち鬼の仮面と装束から、告知にも使われている《がしゃどくろ》(p.47)は歌川国芳の『相馬の古内裏(そうまのふるだいり)』(下図)からです。

「文字情報から創作」は、江戸時代の随筆、郷土史、民族調査の報告書など文章だけで形がないものは独自に描きました。《べとべとさん》(p.51)《一反木綿》(p.51)は水木のオリジナルです。

ソフトカバー/ W210mm × H297mm/ モノクロ・カラー/ 96ページ
2,200円(税込)

水木しげる展2022の混雑状況は?

私は平日午後に入館しましたが、空いていました。

混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「東京シティビュー」「佐川美術館」を検索して開きます。

水木しげる展2022の所用時間は?

60〜90分
私は14:28から15:52で鑑賞しました。

水木しげる展2022のチケットはいくら?

東京展

事前予約
○東京シティビューオンラインチケット
一般1,900円/ 65歳以上1,600円/ 大・高生1,300円/ 4歳~中学生700円

○ローソンチケット
一般2,200円/ 65歳以上1,900円/ 大・高生1,600円/ 4歳~中学生1,000円

当日窓口
○美術館・展望台チケット/インフォメーション(六本木ヒルズ森タワー3階)
一般2,200円/ 65歳以上1,900円/ 大・高生1,600円/ 4歳~中学生1,000円

※屋内展望台入館料を含む
※4歳未満は無料
※料金はすべて税込

滋賀展

未定

水木しげる展2022の会場・巡回先はここ

東京展

東京シティービュー
〒106-6131 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
Tel. 03-6406-6652(10:00〜20:00)

会期
2022年7月8日(金)~9月4日(日)

開館時間
10:00~22:00(最終入館21:00)

休館日
会期中無休

妖怪カメラAR

アクセス
東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口、徒歩3分(コンコースにて直結)
都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口、 徒歩6分
都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」7出口、徒歩9分
東京メトロ南北線「麻布十番駅」4出口、徒歩12分
東京メトロ千代田線「乃木坂駅」5出口、徒歩10分

滋賀展

佐川美術館
〒524-0102 滋賀県守山市水保町北川2891
Tel.077-585-7800
Fax.077-585-7810

会期
2022年9月16日(金)~11月27日(日)

開館時間
9:30~17:00(最終入館は16:30)

休館日
毎週月曜日(祝日に当たる場合はその翌日)・年末年始


妖怪カメラAR

アクセス
鉄道・バス
○大阪・京都方面より
JR湖西線堅田駅下車、江若交通バスまたはタクシーにて約15分
JR東海道本線(琵琶湖線)守山駅下車、近江鉄道バスまたはタクシーにて約35分
○米原・名古屋方面より
JR東海道本線(琵琶湖線)守山駅下車、近江鉄道バスまたはタクシーにて約35分
○敦賀・金沢方面より
JR湖西線堅田駅下車、江若交通バスまたはタクシーにて約15分

○大阪・京都方面より
名神高速瀬田西ICより湖周道路経由 約30分、湖西道路真野ICより琵琶湖大橋経由 約15分
○名古屋方面より
名神高速瀬田東ICより湖周道路経由 約40分
名神高速栗東ICより守山栗東線経由 約30分