機能と装飾のポリフォニーの感想と解説!1900年代から30年代に制作されたモダンデザイン約400点が並ぶ!

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」は、1900年代から30年代にフランス、ドイツ、オーストリア、日本で制作された絵画・インテリア・ファッションなど、モダンデザイン約400点が並びます。

機能と装飾のポリフォニーの感想と解説!

コロマン・モーザー《アームチェア》(1-9)1903年頃

○正方形で構成された椅子です。座面の一松模様が目に留まります。厚みも市松模様の正方形ひとつ分です。背もたれと肘掛けは、一体化しコの字を形成します。コの字の高さの中点で座面を挟み込んでいます。

ちょうど一松模様の境目ごとに角材を立て、コの字をスリットにしています。7行7列に組まれた正方形は、縦方向の動きが加わり格式のある調度品に変換されました。

デザイナーのコロマン・モーザーは、1903年に建築家ヨーゼフ・ホフマンと生活と芸術の総合を目指してウィーン工房を結成しました。建築・室内装飾・カトラリーまで、生活全般をトータルにデザインしようと試みました。

ダゴベルト・ペッヒェ《蓋つきの物入れ》(1-23)1912年頃

○多角形の断面を持つ、黒い陶製の物入れです。多くは直線で構成されていますが、蓋の部分はふっくらと丸みを帯びています。折り目の位置には線が引かれ、小さな鳥籠のようです。草花・星・蝶が細部までデフォルメして描かれています。これらが、籠の中を舞っているようにも思えます。

デザイナーのダゴベルト・ペッヒェは、1915年からウィーン工房に参加しました。後期ウィーン工房の中で、重要な位置を占めます。初期の単純な形状と幾何学的な構成のデザインとは異なり、優雅で幻想的な装飾を描きました。

ポール・ポワレ、テキスタイルデザイン:アトリエマルテーヌ《子ども服》(1-38)1925年

○ポール・ポワレは、フランスのファッションデザイナーです。コルセットなしで着用するドレスを流行させました。

アトリエ・マルティーヌは、ポール・ポワレがウィーン工房などをモデルに開設した工房です。12歳から17歳の女子に装飾芸術を教え、優れたデザインを商品化して販売しました。

ポール・イリブ『ポール・ポワレのドレス』(1-66)1908年

建築設計:ユーゼフ・ホフマン「ストックレイ邸」『近代建築様式』(Fig.3)1914年

ロベール・マレ=ステヴァン『現代都市』(1-86)1922年

○『現代都市』(上図)は、映画館・銀行・郵便局など都市を構成する市街建築プラン32枚からなる、2色刷のドローイング集です。

遠近法を活用し、細いラインで直方体を組み合わせるように建築物を描いています。全体は線画でモノトーンですが、窓やドアなどの数カ所にだけ、鮮やかな色が置かれています。建築パースのようにも思えますが、色彩や形状によるリズミカルな構成は、絵画的な印象をあたえます。

ロベール・マレ=ステヴァンは、モダニズム作家として知らるフランスの建築家です。ヨーゼフ・ホフマンによって考案された、ストックレー邸の施主の甥にあたります。

1929年に、ル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアンらとともに現代芸術家連盟UAMを設立し会長を務めます。

ロベール・マレ=ステヴァン《ダイニングチェア》(4-70)

代表作に、マレ=ステヴァンス通りの集合住宅、ポール・ポワレ別邸、シャルル・ド・ノアイユ別邸などがあります。また、《ダイニングチェア》(4-70)(上図)などの椅子のデザイン、映画「人でなしの女」の舞台美術を手がけました。

「人でなしの女」は、会期中ギャラリー2で上映されています。
上映時間:123分
第1回 10:30~
第2回 13:00~
第3回 15:30~

フェリーチェ・リックス=ウエノ《テキスタイル「クレムリン」》(3-27)1929年

リックスは1913年に、ウィーン美術工芸学校でホフマンらに師事し、ウィーン工房に作品を提供しました。建築家上野伊三郎と結婚し来日し、京都市内にふたりで建築事務所を開設しました。

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マルセル・ブロイヤー《クラブチェア B3(ヴァシリー)》(4-21)1925年

フランシス・ジュールダン「居間」『レベルトワール・ドゥ・グー・モデルヌ』(4-85-2)1928-29年

機能と装飾のポリフォニーの図録をデサインマニアが分析!

○表紙はクロス貼り製本です。(上図左)ビジュアルは、西欧の地図が裏表紙から続いています。鋭利なパターンが上下から伸び、地図をおおっています。パターンは、ウェザリングがほどこされ歴史を感じさせます。パターンの左側には「1900」「1938」の文字が隠されています。表裏にあります。

表表紙は、欧文タイトルが大きく、和文タイトルは添えるように記されています。裏表紙は、出展作家が掲載順に欧文で記されています。

○巻頭には西欧の地図が、1900年から1938年までを4期に分けて、1期を見開きで掲載しています。表紙の地図はここにありました。

パリ・ウィーンなどの、都市ごとの出来事を並べた年表。「ポワレ、シューがストックレー邸を訪問(ブリュッセルへ)」など、年表上に記された作家の移動を示すラインがあります。地図は黒とグレーの色面に分けられ、移動のラインは赤で引かれています。楕円と直線のラインの、幾何学的な構成が絶妙です。

地図に続くページは、「ポワレとウィーン工房」「フランシス・ジュールダン」のように作家を主とした用語の解説が並んでいます。拾い読みができます。

追記。「浅香邸とアンリ・ラパン」もありました。

アンリ・ラパンの内装設計による浅香邸の大客室

○各章の扉は赤を背景色に、その時代のテキスタイルがモノトーンで用いられています。アトリエ・マルティーヌ《壁紙》(1-49)、ダゴベルト・ペッヒェ《テキスタイルデザイン「パン(牧神)」》(2-9)、フランシス・ジュールダン《壁紙サンプル》(3-136)、フェリーチェ・リックス=ウエノ《スターバー:壁紙装飾デザイン「果物」》(4-132)です。

ハードカバー/ W210mm × H290mm/ 1色・2色・カラー/ 344ページ/ 日・英
3,300円(税込)

Amazon.co.jp

機能と装飾のポリフォニー展ジュニアガイド

○A5サイズ、蛇腹折り、6ページの小冊子が、ジュニアガイドとして無料配布されていました(上図右)。表紙は、エドゥアール・ベネディクトゥス『ルレ』(部分)です。

中面は、ポール・ポワレ、ロベール・マレ=ステヴァン、フランシス・ジュールダン、ソニア・ドローネ、斎藤桂三(さいとうかぞう)ら、5人の作家の紹介です。似顔絵が添えられ、代表作品、経歴などが記されています。

W148mm × H210mm/ カラー/ 6ページ

機能と装飾のポリフォニーの会場・巡回先はここ!

豊田市美術館

会期
2022年6月7日(火)~9月4日(日)

島根県立石見美術館

会期
2022年9月17日(土)~11月28日(月)

東京都庭園美術館

〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
Tel. 050-5541-8600(ハローダイヤル)

東京都庭園美術館 | TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM
東京都庭園美術館は1933年に建設されたアール・デコ様式の旧朝香宮邸とその空間をいかした展覧会、緑豊かな庭園を楽しめる美術館です。

会期
2022年12月17日(土)~2023年3月5日(日)

開館時間
10:00-18:00 (入館は17:30まで)

休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始

アクセス
○JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分
都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分
※白金台駅のエレベーターは2番出口

東京都庭園美術館の行き方!JR「目黒駅」から!
JR山手線「目黒駅」から東京都庭園美術館まで、多くの画像を交えて案内します。