ベルナール・ビュフェ回顧展の概要
2020年11月21日(土)~2021年1月24日(日)
10:00-18:00(入館は17:30まで)
金・土曜日の夜間開館はありません。
ベルナール・ビュフェ(1928 – 1999)は、20世紀後半ののフランスを代表する具象画家のひとりです。
学生時代からすでに頭角を表したビュフェは、弱冠19歳で評論家賞を受賞し画壇に華々しくデビューします。ジャン=ポール・サルトルの実存主義やアルベール・カミュの不条理の思想とも重なり世界中に広がりました。
展覧会ではビュフェのデビューから晩年までを、静岡県にあるベルナール・ビュフェ美術館が所蔵する2000点の中から、油彩を中心とした約80作品でたどります。
ベルナール・ビュフェ回顧展の見どころはここ
(19)《キリストの十字架降下》
(23)《肉屋の男》
ビュフェは17歳で母を亡くし学校を退学、貧しい生活を送りながら独り画家の道を歩みだします。
《キリストの十字架降下》(左)や《肉屋の男》(右)は、抑制的で地味な色彩と鋭い線による描写が戦後厳しい時代の雰囲気を見事に反映した初期の傑作です。 pic.twitter.com/terqA9dUJK— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
(45)サーカス:トロンボーンとピエロ
ピエロ、あるいは道化、はビュフェの作品にたひたび登場するモチーフ。
「いつの時代も道化じみていますが、ピエロは変装したり滑稽にしたりすることによって、自分を思いのままにすることができるのです。つまり自由なのです」と語るビュフェは、自らにピエロのメイクを施したこともあるのだとか🤡 pic.twitter.com/LrIAQpl8uz— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
1948年、ビュフェは(fig.4)《部屋の中の二人の男》でサン=プラシド画廊主催のプリ・ド・ラ・クリティック(批評家賞)を受賞し具象画家としての不動の地位を築きました。
美術評論家ピエール・ド・ボワデフルは「彼の鋭い線、灰色のモノトーン、非情な解剖は、現代の“不条理”というものを、サルトルの『嘔吐』やカミュの『異邦人』とおなじくらい激しく表現している」と述べています。
絵画は大型作品が恒例となり、26点の油彩で構成された「サーカス」シリーズでは薄塗りの絵肌を試みました。
(54)夜会服のアナベル
こちらは写真家ロベール・ドアノーが撮ったビュフェの肖像。男前😳…だけど斜に構えた視線はどこか作品から伝わる印象に通じます👀
ビュフェは1958年、歌手/モデルのアナベルと結婚し、彼女をモチーフに多くの作品を残しました。またこの年はパリでの個展が成功を収めるなど激動の一年に。 pic.twitter.com/Ycq9WqEJap— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
友人のピエール・ベルジェは、ビュフェのマネージメントを務めました。しかし、ビュフェが歌手やモデルとして活躍していたアナベル・シュウォーブとの結婚を機に決別します。その後ベルジェは、イヴ・サンローランと組んでクリスチャン・ディオールの後継者となり、同社を大企業へと成長させました。
(56)『声』
ベルナール・ビュフェ展@ BUNKAMURA ザ・ミュージアム: 大作たくさんで作家の人生のみちゆきと作風の変遷が見通しよく。その中にコクトー『人間の声』文字込みで挿絵を描いた本の中身を並べたものが。写真はショップで売っていた絵葉書なんだけど、全編こんな感じ。関心ある人はぜひ。 pic.twitter.com/wYgZ2eYe3m
— Miho Morioka 森岡実穂 (@MoriokaM) January 6, 2021
【1/2~開館】Bunkamura ビュフェ展https://t.co/Fnl1XViEa9
フランスで一世を風靡したビュフェの10代~晩年までの80作品を一挙公開。#ビュフェ展 #Bunkamura #buffet pic.twitter.com/ixiWTXStLq— インターネットミュージアム (@InternetMuseum) January 1, 2021
上図左。大作があるなか、文字がビッシリと詰まった小さなモノクロ正方形が、3行7列に組まれていてスルーしてしまいそうです。デザイン愛好家の私はピタリととまりました。
文字は活字ではなくビュフェによるカリグラフィーです。「Bernard Buffet」と作品に刻んだ手が書きました。
作品はフランスの芸術家ジャン・コクトーの擬曲『声』のために、ビュフェが制作したドライポイントの挿画です。
『声』(『人間の声』とも)は当時のハイテクだった電話による会話を、主役ひとりによる物語にしたものです。
ビュフエの挿画は、画面左に置かれた電話機。ダイヤルを回す細い指に、吹き出しのように並んだカリグラフィー。全くの第三者である電話交換手。受話器に向かう口もとに大小ないまぜにしたカリグラフィー。電話機の置かれた寝室に浮遊するカリグラフィー。応答のない呼びかけ Allo(こんにちは),Allo,Allo,・・・の3文字。別れた恋人との距離感を暗示させる、遠方へ延びる電線。
コクトーはビュフェの作品を「気をつけたまえ。ビュフェの静物は、死んでいるのは見かけだけで、いつ噛みついてくるかわからない」と評しました。
(57)ピエロの顔
「ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代」が開催。戦後フランスを代表する具象画家の作品世界を、「時代」をキーワードに紹介する(Bunkamura ザ・ミュージアム、~2021年1月24日)https://t.co/CvuCAPZRkl
— ウェブ版美術手帖 (@bijutsutecho_) December 31, 2020
シルクハットの円柱、顔面の六画形、肩のラインの二等辺三角形と、図形を積んだ幾何学的構図を持つ肖像画です。唯一非対称形の蝶ネクタイで、そのシンメトリーを崩し変化を加えています。配色もシルクハットと輪郭線の黒、顔面と蝶ネクタイの白、眉毛と鼻先と背景の赤が多くを占めており、色数が抑えられています。シンボリックでポスターにも近い印象をあたえます。
(58)カルメン
ビュフェは子供の頃から大好きな画家です。
楽しみ。「ベルナール・ビュフェ回顧展」Bunkamura ザ・ミュージアムで – 戦後の代表的具象画家の軌跡 https://t.co/KLbQwsW6Ou
— シオザワヒロユキ (@ShiozawaHiroyuk) October 4, 2020
Bunkamura ザ・ミュージアム「ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代」 | レポート – インターネットミュージアム https://t.co/ZvHwo1tOLo pic.twitter.com/QnX1H8Zzbz
— beep_R_A.K. (@beep_roadrunner) January 2, 2021
ビュフェはまたこの時期、動物や昆虫、植物を博物標本のように描いた一連のシリーズも発表します。
幼少から心奪われた博物誌の世界とビュフェの表現主義的な作風が交わることで、新たな生物画の世界が拓かれていったのです。あ、サカナ…🐟💀 pic.twitter.com/kEYuUW7teK
— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
(81)《内省》
渋谷の東急Bunkamura美術館の「ベルナール・ビュフェ展」。 – 久恒啓一のブログ「今日も生涯の一日なり」 https://t.co/SNYv7ZXmht
— 久恒啓一 (@hisatune) December 27, 2020
(96)サン=マルタン運河
(ベルナール・ビュフェ、クセつよだなぁ)と思ったあなた!
実はビュフェは70年代から写実的な風景画の制作も手がけています。しかもどれも目を疑うクオリティ!
端正なパースとパキッとした輪郭線は、確かに都市の風景を描くのにぴったりなのかもしれません。
ビュフェの新たな一面にびっくり👀 pic.twitter.com/qTkIg72sso— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
(108)死
80年代以降、ビュフェは自身のアトリエに引きこもり、淡々と制作に没頭するようになります。
1997年にパーキンソン病を発症したビュフェは次第に筆もとれなくなり、99年、自ら命を絶ちました。
こちらはその最晩年の作品。死と向き合ったビュフェが残した表現、ぜひ直接ご覧ください。 pic.twitter.com/hAmOwBOoSh— タラ夫 (@2017babel) December 24, 2020
ベルナール・ビュフェ回顧展の混雑状況はここをみる
混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「Bunkamuraザ・ミュージアム」を検索して開きます。
ベルナール・ビュフェ回顧展のインスタ映えスポットはここ
Bunkamuraへ向かう途中の電柱は、ビュフェのポスターでパリの広告塔のよう?
東急百貨店本店のショーウインドウのディスプレイがおしゃれ。
Bunkamuraエントランス。
地下に降りてザ・ミュージアム前。次回は「写真家ドアノー/音楽/パリ」。
ベルナール・ビュフェ回顧展の図録はここがすごい
2021年初購入の本は、ベルナール・ビュフェの画集。
渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている、#ベルナール・ビュフェ回顧展 にて。
画集に寄稿されている赤瀬川原平氏の「苛立つ線の画家」という言葉に納得。
会期は1月24日までです。M pic.twitter.com/RXV7mTxlx1— works-m.books (@worksm_books) January 2, 2021
ベルナール・ビュフェ回顧展の図録は特に制作されなかったようです。
ミュージアムショップには、2014年に刊行された『ベルナール・ビュフェ 1945‐1999』が置かれていました。
同書は静岡県のベルナール・ビュフェ美術館の収蔵作品から、代表作108点を収録したビュフェ日本初の作品集です。
・表紙を飾る(81)《内省》は、1969年に描かれたW620 × H200cmにわたる大作です。横に長い作品を半分に折り表紙にしました。右開きのため、画面右端の着衣の男性の肖像が表表紙に、ふたりの裸体の男性が裏表紙となり本体を包みます。まるで装幀をするために描いた作品のようです。
(19)《キリストの十字架からの降下》
フランスの画家ベルナール・ビュフェ『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』の展覧会がBunkamuraザ・ミュージアムにて開催中。https://t.co/ZGLGQEtfsf pic.twitter.com/lPvgniFrTg
— madame FIGARO japon (@madameFIGARO_jp) January 8, 2021
・ページを開くと、見開き一杯にトリミングされた(19)《キリストの十字架からの降下》に目を奪われ作品集が始まります。
・左ページに、絵具に塗れ絵筆を取るビュフェのポートレート、右ページに目次がきます。扉ごとにビュフェのポートレートが使われているのが同書の特徴です。
・左ページに自作を望むビュフェ、右ページからビュフェの生涯を綴った「ベルナール・ビュフェ 1945‐1999」が続きます。
・作品の章に移り、扉はビュフェがタバコをくわえたポートレートです。1949年、ビュフェ21歳のときセーヌ通りで撮影されました。画面の右端にわずかに街明かりがのぞきます。作品集では、ちょうど本のノドにかかりこの部分が隠れています。左ページ左下に「1940s」とタイトルが置かれます。
「1950s」の扉はサン・トロペでアナベルとビュフェ。「1960s」はイーゼルに立てかけた《カルメン》のポスター原画とビュフェ。「1970s」は《ダンテの地獄編:変容》を背にしたビュフェ。「1980-1999」《ドン・キホーテと羊の群れ》を描くビュフェと、容貌の変容を横目に作品を追いかけます。
・小説家・フランス文学者堀江敏幸、画家・作家赤瀬川原平、美術家杉戸洋、美術評論家椹木野衣、評論家加藤周一らが寄稿をしています。
・巻末には、ビュフェがピエロのメイクをする様子も、連写で収められています。
ハードカバー/ W280mm × H228mm/ モノクロ・カラー/ 192ページ/ 日・英
価格:3,080円(税込)
ベルナール・ビュフェ回顧展のグッズが素敵すぎる
ベルナール・ビュフェ回顧展/Bunkamuraザ・ミュージアム
誰もいない街並みの風景画が、コロナ禍の今と被って見えた。
黒い線にいろいろな表情があった。 pic.twitter.com/3SneNrjdo1
— こい (@koisan_4o4) December 28, 2020
ベルナール・ビュフェ回顧展のチケットはいくら?
一般1,600円/ 大学・高校生1,000円/ 中学・小学生700円
2021/1/16(土)・17(日)・23(土)・24(日)の4日間に限り、オンラインによる入場日時予約が必要です。
前売券の販売はありません。
※学生券を購入する場合は、学生証を提示します。(小学生は除く)
※障がい者手帳の提示で、本人と付き添い1名様は半額となります。(一般800円、大※学・高校生500円、中学・小学生350円)当日窓口にて購入します。
※未就学児は入館無料です。
ベルナール・ビュフェ回顧展は割引や特典がある
変化する表現の中にも、決して変わらないものを感じました。ベルナール・ビュフェという画家が生きていたことがはっきりと伝わってきて、全身の血がたぎってきました!
カルチャんカードをお持ちいただくと当日券から100円引になります。皆様も是非いかがでしょう!(あいみ) pic.twitter.com/pNBki88DtH
— ほぼ日カルチャん / 渋谷PARCO4階 (@culturen_1101) January 6, 2021
「ベルナール・ビュフェ回顧展」
特徴な絵柄、大胆な色使い。
「どぎつい」「毒々しい」という印象だった。
ベルナール・ビュフェという人は芸術家らしい人だったんだろうなと。
先着100名までの非売品のクリアファイルまで貰えた。 pic.twitter.com/ohqA4k6Z1W— 🐾🐱🐾 (@bungakudaisuki) January 5, 2021
ベルナール・ビュフェ回顧展の会場・巡回先はここ
Bunkamura ザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
アクセス
○JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
○東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
○東急・東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」A2出口より徒歩5分
○京王井の頭線「神泉駅」北口より徒歩7分
ベルナール・ビュフェ美術館のあるクレマチスの丘
クレマチスの丘は静岡県駿東郡長泉町(すんとうぐんながいずみちょう)の愛鷹山(あしたかやま)山の中腹に庭園、美術館、レストラン、ショップを持つ複合施設です。
私は2013年4月にクレマチスの丘を訪れましたが、ビュフェ美術館は休館でした。画像はそのときのものです。
〒411-0931 静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1
Tel.055-989-8787
開館時間
10:00–16:30(11・12・1月)
休館日
全施設 / 水曜日(祝日の場合は開館、その翌日休)、年末年始
ヴァンジ彫刻庭園美術館
2002年に開館した、イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界で唯一の個人美術館です。人体をシュールに展開させた作品が庭園や展示棟に並びます。
クレマチスガーデン
私は普段日本庭園に行くことが多いので、色彩の豊さに驚きました。
ベルナール・ビュフェ美術館
スルガ銀行第三代頭取岡野喜一郎によって1973年に創設されました。収蔵作品数は油彩画、水彩画、素描、版画、挿画本、ポスターなど2000点を超え、世界一のビュフェコレクションを誇っています。私が訪れたこの日はあいにく休館でした。
井上靖文学館
文学館は井上靖と沼津中学後輩の岡野喜一郎により、井上が66歳の1973年に開館しました。
アクセス
車
○東京方面より:東名裾野I.C.よりR246経由、沼津方面へ10Km
○名古屋方面より:新東名 長泉沼津I.C.あるいは東名 沼津I.C.より伊豆縦貫道(東駿河湾環状道路)へ、長泉I.C.出口R246右折/新東名 長泉沼津I.C.より5km
電車
JR「三島駅」北口より無料シャトルバスがあります。