テート美術館展光―ターナー、印象派から現代への徹底解説!18世紀末から現代までの約200年間から、光をテーマにした作品120点が一堂に並ぶ!

英国・テート美術館から絵画、写真、彫刻、素描、キネティック・アート、インスタレーション、映像などの、光をテーマにした作品が一堂に並びます。

テート美術館展光―ターナー、印象派から現代への感想と解説!

1精神的で崇高な光

ウィリアム・ブレイク 04《アダムを裁く神》1795年

2自然の光

ジョン・コンスタブル 14《ハリッジ灯台》1820年出品?

○画面の3/4ほどが積乱雲で占められれいます。画面右上の暗雲は、海の向こうではなくすぐ上方にあります。

この雲によって、前景の海面と地面には、日差しを遮られてできた暗部が広がります。そして、日のあたる中景や遠景とコントラストを成し、彩色に抑揚をあたえています。

ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー 17《湖に沈む夕日》1884年頃

道に佇む手前の人物までと、木造の灯台から奥に日が差しています。草原の手前には、2羽の鳥が低く飛んでいます。ちょうど日のあたる岩の傍らには、ふたりの人が腰を下ろしています。

鋭利な岬の先端は高まり、右奥には赤茶色の屋根がいくつか覗いています。海上には、いくつもの帆船が波を滑っていきます。水平線の彼方にあるものは、白い点と化しています。19世紀初頭の、穏やかな夏の海辺に潮風を感じます。

クロード・モネ 28《エプト川のポプラ並木》1891年

3室内の光

ヴィルヘルム・ハマスホイ 32《室内》1899年

右から1/3に部屋のコーナーがあります。その前には、焦茶色の薪ストーブが置かれています。

さらに、赤茶色の丸テーブルがあり、椅子の背もたれが覗いています。室内は、直線ばかりで構成されています。丸テーブルの描く、ゆったりとした楕円は優雅さを加えます。

丸テーブルを挟み、黒い衣服の女性がコーナーに向かい立っています。女性は後ろ姿で、こちらを向いてはいません。肖像画としてではなく、室内の一部としてあります。幾何学的な設えの中に、不定形を置きアクセントとしました。

ウィリアム・ローゼンスタイン 34《母と子》1903年

女性からコーナーまでは、物が重なり段階的に遠近を感じさせます。また、女性の首筋のほかは床も加え暗い色彩です。

コーナーを作る2面の壁には、同じデザインの白い扉がそれぞれ取り付けられています。これらの明るさが暗い色彩を囲みます。特に衣服の黒とは、強いコントラストを生み出し画面に緊張感をあたえます。

すべての配置は偶然ではなく、画家の周到な計算によります。ふたつの扉の明るさの差異が、室内の柔らかな光を立体的にしています。

5色と光

モホイ=ナジ・ラースロー 60《K VII》1922年

○無彩色の空間が置かれています。矩形の重なった部分を、それらの中間の濃度で塗っています。そうすることで、透過性が生み出されます。

垂直に引かれた赤い線が、空間にわずかな色彩と強い緊張感を加えます。幾重にも重なるレイヤーで、この線が最上階です。

ヨーゼフ・アルバース 66《正方形讃歌のための習作 光り輝く》1963年

その下は薄いグレーの正方形。水平に引かれた太い濃いグレーの線。黒い縦位置の長方形と下ります。これらを、ひとつのまとまりとしています。

このまとまりを半分のサイズにしたものが、右上により薄くあります。さらに下の階層であることを意味します。正方形の右部分を、クリーム色にして変化を持たせています。

ゲルハルト・リヒター 70《アブストラクト・ペインティング(726)》1990年

これを縮小移動した相似形ではなく、同じ大きさの遠近と見ることもできます。すると、広がりに奥行きが加わります。

ストイックに構成された透明感のある空間は、壁面をグレーに照らす緩やかな光で満たされています。

6光の再構成

ピーター・セッジリー 74《カラーサイクル III》 1970年

7広大な光

オラファー・エリアソン 92《星くずの素粒子》2014年

テート美術館展光―ターナー、印象派から現代への図録(カタログ)をデサインマニアが分析!

○表紙は、22《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》(下図)です。横長の作品は、表表紙の袖から始まり背を通って裏表紙まで続きます。

ジョン・ブレット 22《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》1871年

空の両端があるので、ノートリミングかと思いましたが、下方が割愛されていました。一方、部分拡大では上下が残されています。比べると、水平線の位置がちがいます。

欧文タイトルは「LIGHT:Works from the Tate Collection」です。表紙には「LIGHT」をオレンジ色で大きく記し、「Works 〜」をクリーム色で下方に重ねています。オレンジ色は空の青色の補色、クリーム色は雲の色でしょう。

デイヴィッド・バチェラー 84《ブリック・レーンのスペクトル2》2007年

○扉のビジュアルに用いられているのは、17《湖に沈む夕日》・10《無垢なる幼児たちの勝利》・21《ペールオレンジと緑の黄昏—バルパライソ》・34《母と子》・62《スウィング》・84《ブリック・レーンのスペクトル 2》(上図)・92《星くずの素粒子》です。これらは1ページなので、作品を縦位置にトリミングしています。

○作品の多くは、1ページに1点で掲載されています。しかし、以下は2ページに1点です。04《アダムを裁く神》・02《トスカーナの海岸の灯台と月光》(下図)・14《ハリッジ灯台》・29《ポール=ヴィレのセーヌ川》・23《春の小さな草地》・83《私が愛するキングス・クロス駅、私を愛するキングス・クロス駅8》です。

ジョセフ・ライト・オブ・ダービー 02《トスカーナの海岸の灯台と月光》1789年出品?

○以下の作品は1ページに1点に加え、部分拡大を2ページで掲載しています。06《ポンペイとヘルクラネウムの崩壊》・11《愛と巡礼者》・22《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》・59《去ってゆく冬》・70《アブストラクト・ペインティング(726)》・72《ぶら下がったかけら》・86《レイマー、ブルー》です。

ハードカバー/ W225mm × H280mm/ モノクロ・カラー/ 256ページ/ 日・英
価格:3,300円(税込)

テート美術館展光―ターナー、印象派から現代への会場・巡回先はここ!

国立新立美術館

〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
Tel. 050-5541-8600(ハローダイヤル)

国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

会期
2023年7月12日(水)~10月2日(木)

開館時間
10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※9/25(月)、9/27(水)、9/28(木)、10/1(日)は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで

休館日
毎週火曜日休館
※祝日または振替休日に当たる場合は開館し、翌平日休館

アクセス
電車
○東京メトロ千代田線「乃木坂駅」青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
○東京メトロ日比谷線「六本木駅」4a出口から徒歩約5分
○都営地下鉄大江戸線「六本木駅」7出口から徒歩約4分
バス
○都営バス
「六本木駅前」下車、徒歩約7分
「青山斎場」下車、徒歩約5分
○港区コミュニティバス「ちぃばす」赤坂循環ルート「六本木七丁目」下車、徒歩約4分

国立新美術館の行き方!JR「東京駅」丸の内地下中央口から!
JR「東京駅」丸の内地下中央口から国立新美術館まで、多くの多くの画像を交え案内します。
国立新美術館にアクセス!大江戸線「六本木駅」から!
大江戸線「六本木駅」から国立新美術館まで、大きな画像をたくさん交え地上と地下から案内します。
国立新美術館の行き方!日比谷線「六本木駅」から!
日比谷線「六本木駅」から国立新美術館まで、大きな画像をたくさん交え地上と地下から案内します。

大阪中之島美術館

〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1
Tel. 06-6479-0550(代表)(10:00~17:30)

大阪中之島美術館
大阪中之島美術館公式ウェブサイトです。 19世紀後半から今日に至る日本と海外の代表的な美術・デザイン作品を中心に、約6000点超のコレクションを所蔵。様々な展覧会を開催しています。

会期
2023年10月26日(水)~2024年1月14日(日)

開館時間
10:00~17:00
※入場は閉館の30分前まで

休館日
月曜日
※1月8日は開館、12月31日・1月1日は休館

電車
○京阪
・中之島線「渡辺橋駅」2番出口より南西へ徒歩約5分
・「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○Osaka Metro
・四つ橋線「肥後橋駅」4番出口より西へ徒歩約10分
・御堂筋線「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○JR
・大阪環状線「福島駅」/東西線「新福島駅」2番出口より南へ徒歩約10分
・「大阪駅」より南西へ徒歩約20分
○阪神
・「福島駅」より南へ徒歩約10分
・「梅田駅」より南西へ徒歩約15分
○阪急
・梅田駅より南西へ徒歩約20分
バス
○大阪シティバス
JR「大阪駅」前より53号・75号系統で「田蓑橋」下車、南西へ徒歩約2分
※帰路のJR「大阪駅」方面最寄バス停は「渡辺橋」から

大阪中之島美術館にアクセス!京阪「渡辺橋駅」から!
京阪「渡辺橋駅」から大阪中之島美術館まで、画像をたくさん交え案内します。国立国際美術館と大阪市立科学館に隣接しています。
大阪中之島美術館の行き方! 四つ橋線「肥後橋駅」から!
四つ橋線「肥後橋駅」から大阪中之島美術館まで、多くの画像を交えて案内します。途中に、国立国際美術館と大阪市立科学館があります。

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