ハリー・ポッターと魔法の歴史展口コミ!シリーズの背景となる魔法・錬金術・呪文・占いなどを、大英図書館の所蔵品などから探ります!

ハリー・ポッターと魔法の歴史」展は、ハリー・ポッターシリーズの背景となる魔法・錬金術・薬草・呪文・天文・占いなどを、大英図書館の所蔵品などから探ります。また、シリーズの原作者J.K.ローリングによる、直筆原稿やスケッチなども紹介されます。

「ハリー・ポッターと賢者の石」出版20年を記念して、大英図書館で行われた展覧会の国際巡回展です。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展の感想と解説!

『ジョバンニ・ガタモストの図説薬草書』(p.104・105)15世紀

「薬草学」の章です。左の長髪の男性は、お茶目なおじさんに見えますが、薬草マンドレイクの根の部分です。マンドレイクは、引き抜かれるときに悲鳴を上げ、聞いた人間を狂死させます。おおらかそうに見えますが意外と凶暴です。

危険きわまる収穫の方法は、頭上まで埋まっていたおじさんを、いやマンドレイクを掘り起こします。右の女性の角笛の音を合図に、ひもでつないだ犬に引かせて抜くというものです。

犬は狂死しないのか、してもいいのか。引き抜かれたマンドレイクに、襲われることはないのか。画面からは、決死の覚悟は感じられず牧歌的な風景が広がります。

実在する植物です。根に含まれる毒は、幻覚、幻聴を伴い死に至らしめることもあります。

『エチオピアの魔術書』(p.194・195)1750年

「闇の魔術に対する防衛術」の章です。顔がなくても、ユーモラスな赤と黒の平面構成です。左上は、四隅に一松模様を置き斜め一松でつないでいます。私は、このパターンの配色が変えてあるところに注目しました。

下のパターンは赤一色、これをデフォルトとします。左は黒と赤の横並びです。右はやや複雑になり、黒と赤が交互に並びますが、中程から黒は塗られていません。どちらも、始まりの逆三角は塗られていません。

上のパターンは、波になっており別物のようですが、デフォルトの三角形の部分を交互に黒で塗るとこのようになります。

塗りのドットが赤と黒の2色になっていたり、先端が雷文(らいもん)のようになっていたりバリエーション豊かです。私は、左下の波打つ扇形が透明感がありオススメです。ちょっと弱そう?

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《人魚》(p.237)1900年

「魔法生物飼育学」の章です。ウォーターハウスは、19世紀後半から20世紀初頭に活動したイギリスの画家です。ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに所属し、神話や文学作品に登場する女性を描きました。また、妖艶な人魚のイメージは、当時の西洋で確立されたものです。

一方、日本では18世紀から19世紀にかけて、《人魚ミイラ》(p.235)を始めとする幻獣ミイラが作られました。魔除けや縁起物として国内の寺社に伝えられ、見世物として欧米へも輸出されました。

先日ニュースで、岡山県の円珠院(えんじゅいん)秘蔵の人魚のミイラをCTスキャンにかけるなど、それぞれの専門家による科学的アプローチを試みるとありました。CTスキャンによる、あくなき探究は「古代エジプト展」だけに留まりません。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展の図録をデサインマニアが分析!

・表紙カバーは、飾り罫の上にジム・ケイの描く《不死鳥のフォークス》(p.230・231)がはばたいています。

その下に「P」のステムが稲妻になった、おなじみの「Harry Potter」のロゴタイプ。また右上の「BRITISH LIBURARY」は、改行して一文字さげ天地を逆にして合わせたところがユニークです。私は同館のロゴマークをはじめて見ました。裏面は飾り罫に不死鳥の卵です。

カバーの折り返しには、星の等級ごとに穴が開けられた、星図のカード集『ウラニアの鏡』(p.149)から一角獣座と子犬座。タイポグラフイがユニークな『天文学論文集』(p.140)から大犬座。

レオナルド・ダ・ビンチが鏡文字で著した『アランデル手稿』(p.146)(上図)から、地球と太陽と月の位置関係を描いたメモなどが置かれています。

・カバーを外すと、紺の背景色にゴールドで図像が描かれ、図録というより魔法辞典のようです。和文表記は背表紙にもないので洋書の装幀です。

飾り罫には『蛇竜誌』(p.214)から、エチオピアのドラゴン4匹が添えられています。ドラゴンのゴツゴツした顔面、多角形のような羽根、弧を描く尾を絡ませた様子は飾り罫を擬人化(とは言いませんが)したようです。

・図録の見どころは図版の部分拡大です。一般的には作品の全体像に加え、細部を見せるために用います。ここでは大太陽系儀(p.144・145)が該当します。

私が目を留めたのは、ところどころにアクセントとして現れる、ジム・ケイによるイラストと大英図書館の図版による部分拡大です。私のイチオシは、見開きで掲載された《ダイゴン横丁のスケッチ》(p.4・5)です。

また各章に添えられた、J.K.ローリングによる手書きの原稿は、魔法学校の配置図(p.51)や推敲の跡も多くあり、作家の熱量が伝わってきます。

・それぞれの書物や資料は、表題や解説のほかにキュレーターのコメントや、関連するハリー・ポッターシリーズのタイトルと登場人物、さらにそのセリフまで記されています。

ハードカバー/ W226mm × H267mm/ モノクロ・カラー/ 264ページ
価格:2,800円(税込)

ハリー・ポッターと魔法の歴史展のグッズは何がある?

ピンバッジ

大英図書館の蔵書から、中世の研究者たちによる図版が今様にまとめられています。愛らしくも学術的、タイポグラフィもユニークです。

・大犬座(p.140)(上図上右)。犬の身体に記されているのは、詩をビジュアルとして表現した形象詩です。前足・右後足は文字が斜めに書かれています。星座を示すサーモンピンクがリズミカルです。

・アブラカタブラ(p.129)(上図下中)。「アブラカタブラ」はマラリアを治療する呪文でした。一文字ずつ減らしながら、この言葉を書きお守りとしました。ちょうど逆三角形のフラッグのようになります。

・手相占い(上図下右)。18世紀に著された小冊子『古代エジプト占い最後の遺産』に掲載されています。東京展のチラシに見開きでありました。図録(p.150)に左ページの拡大がありますが、ピンバッジの手相は右ページのものです。手のひらの絡み合う線もさることながら、数字や記号が神秘的です。

白雲石コースター

茶の葉占いをモチーフにしたコースターです。カップに残った茶葉による澱(おり)を見て占います。

上部のタイトルとイラストは、スコットランド高地の予言者による手引書『ティーカップ占い:茶葉で運勢を見る方法』(p.169)(下図)から。

描かれている模様は、小冊子『茶葉で未来を判断する方法』(p.170・171)からです。10・11ページが抜粋され、20の模様が並んでいます。末尾が50で終わっているので、本来はそれだけの茶葉があるはずです。

コースターとは別に「ティーカップ占いティーバッグセット」もあります。ティーバッグでは澱が残らないので、占うには一考を要します。売れ筋。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展の混雑状況は?

私は土曜日の午前中、兵庫会場に行きましたが日時指定もあってか、それほど混んではいませんでした。

ビッグデータから

混雑状況を、ビッグデータから解析するサイトを見ます。

「あの展覧会混んでる?」

グーグルマップから

混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「兵庫県立美術館」「東京ステーションギャラリー」と目的の美術館名を検索して開きます。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展の所用時間は?

90〜120分。

私は、10:18〜12:22 で鑑賞しました。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展のチケットはいくら?

兵庫会場

前売日時指定券(ローソンチケット販売)
一般1,800円/ 大学生1,300円

当日券(会場窓口販売)
一般2,000円/ 大学生1,500円

高校生以下無料/ 70歳以上1,000円/ 障がいのある者(一般)500円/ 障がいのある者(大学生)300円

東京会場

前売日時指定券(ローソンチケット販売)
一般/ 2,500円/ 高校・大学生1,500円/ 小・中学生500円

※障がい者手帳等持参者は200円引き(介添者1名は無料)です。割引料金のチケットをローソンチケットにて必ず購入する。
※招待券/招待ハガキの所有者や、無料に該当する者は、直接美術館へ(予約等不要)。
※団体割引はおこなっていない。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展の会場・巡回先はここ

兵庫会場 2021年9月11日(土)~2021年11月7日(日)

兵庫県立美術館
〒651-0073神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1[HAT神戸内]
Tel. 078−262−0901(代)

休館日
月曜日(祝休日の場合は翌日)、年末年始(12月31日、1月1日)

開館時間
10:00~18:00(入場は17:30まで)
金・土は20:00まで(入場は19:30前まで)

アクセス
電車

○阪神電車
「岩谷駅(兵庫県立美術館前)」より南へ徒歩約8分
○JR
「灘駅」南口より南へ徒歩約10分
○阪急電車
「王子公園駅」西口より南西へ徒歩約20分

バス

○神戸市バス
「三宮ターミナル前」から(100系統)で「県立美術館前」下車
「阪急王子公園」から(29、101系統)で「県立美術館前」下車
○阪神バス
「三宮駅前」から(HAT神戸線)で「県立美術館前」下車


○阪神高速3号神戸線「摩耶ランプ」から「摩耶ランプ南」交差点を西へ 「摩耶ランプ」からの所要時間約5分
○国道2号線から「岩屋中町4」交差点を南へ

東京会場 2021年12月18日(土)〜2022年3月27日(日)

東京ステーションギャラリー 
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1
Tel. 050-5542-8600 ハローダイヤル(9:00~20:00)

開館時間
10:00〜18:00(金・土曜日は10:00 〜20:00)
入館は閉館30分前まで

休館日
月曜日、(祝日の場合は翌平日/ただし会期最終週、ゴールデンウィーク・お盆期間中の月曜日は開館)、年末年始、展示替期間

アクセス
JR「東京駅」丸の内北口 改札前

東京メトロ丸の内線「東京」駅(約3分)
中央改札を丸の内北口方面側に出て、M12出口へ向かう。
M12出口の階段を上がり地上へ。
正面にあるJR東京駅丸の内北口ドームの中へ入ると左手に美術館館入口がある。

東京メトロ東西線「大手町」駅(約5分)

東改札をB4、B5出口方面へ出て、階段(エスカレーター)を上がり直進。
そのままJR「東京駅」方面の地下通路を直進、M12出口へ向かう。
M12出口の階段を上がり地上へ。
正面にあるJR「東京駅」丸の内北口ドームの中へ入ると左手に入口がある。

東京メトロ千代田線「二重橋前」駅(約7分)

JR「東京駅」方面改札を出て、出口7の階段を上がる。
行幸地下ギャラリーを通りぬけ左折、M12出口へ向かう。
M12出口の階段を上がり地上へ。
正面にあるJR「東京駅」丸の内北口ドームの中へ入ると左手に美術館入口がある。