ピカソとその時代展の感想と解説!ベルリン国立ベルクグリューン美術館所蔵のピカソらの作品を主に108点を展示!

「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」です。同館の設立と名称は美術商ハインツ・ベルクグリューンによります。コレクションは、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティの4人に焦点が当てられ、ポール・セザンヌとジョルジュ・ブラックがこれに加わります。

同館からの日本初公開76点を含む97点に、日本の国立美術館の11点を加えた108点を展示します。

ピカソとその時代展の感想と解説!

アンリ・マティス《ロンドン、デート・ギャラリーの展覧会(1953年)のためのポスター図案》(2)1952年

○欧文書体はマティスによるものです。短冊状に切り出した色紙のパーツを組み合わせて、アルファベットを記しました。「R」「P」「D」「O」の曲線部は全て、直線で引いた三角形に置き換わっています。「<」を点対称で合わせた「S」と、末尾の「53」は絶妙です。

ポール・セザンヌ《セザンヌ婦人の肖像》(3)1885〜86年頃

よく見ると、文字と模様にはピンで開けた小さな穴があります。「E」には、3本の横線の始点と終点で6か所にあります。この図案を、別の用紙にトレースするために開けた穴でしょうか。用途は不明です。

パブロ・ピカソ《丘の上の集落(オルタ・デ・エブロ)》(14)1909年

○分析的キュビズムで描かれた風景画です。単純化された家屋や山脈が、幾何学的なパーツとなり空間的秩序を無視して並んでいます。

中央手前の切妻屋根と、奥に続く家屋は上から見下ろした様子です。その右側や遠方に覗く家屋は正面からの様子です。この辺りで写実的な描写は破綻しています。

パブロ・ピカソ《窓際の静物、サン=ラファエル》(31)1919年

家屋は黄土色を主に灰色が添えられ、山脈は灰色を主に茶色です。近似する配色と質感は、意図的に両者の境界を不明瞭にしています。

上部右端の建築物の水平と垂直の境界線を、左上に延長すると山の稜線に続きます。先述の奥に続く家屋の屋根も、茶色と灰色の境界線が斜めに分割します。この線も左奥の屋根を横切り雲を突き抜けます(驚)。

パブロ・ピカソ《踊るシレノス》(36)1933年

手前の切妻屋根にも、うっすらと色分けがなされています。左奥の建築物を通り、その隣の家屋へと続きます。隠された線はまだ他にもあります。

ピカソは、幾何学的形態を織り込んだ実現不可能な風景を、平面に投影することにより屹立させました。

パウル・クレー《子どもの遊び》(83)1939年

○つばの広い帽子で鶏と駆ける少女が、幾何学的構成によって描かれています。

黒く太い線が全体を形作っています。そのままだと重いイメージになりそうです。しかし線を閉じてしまわず、所々に隙間を持たせることで軽快さを加えました。またこのとき、黄色の衣服の左手側の波線をボタンに見立てています。

アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラI》(102)1956年

跳ね上がった右足と、それに伴い90°の円弧を描くスカートの裾は子ども躍動感を表しています。

コミカルなのは、ドットによるなびく髪もさることながら、無表情に描かれた少女の顔です。右目の矩形に記された「S」が、意表をつきます。さらにその右側、進行方向にはもうひとつの顔のパーツが用意され、駆け出した少女の感情の変化を予測させています(笑)。

ピカソとその時代展の図録をデサインマニアが分析!

○縦長のサイズです。ベルクグリューン画廊の、展覧会カタログ(下図)に倣ったのかもしれません。

○表紙のタイトルは欧文だけが記されています。書体は「アイティーシー・ティファニー・ヘビー(ITC Tifany heavy)」(下図)です。縦と右下がりのラインが太く、横と右上がりが細く、その差が著しいこと。「A」の頂点、「N」「M」の右がりのラインの止めに特徴があります。

ビジュアルはパブロ・ピカソ《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》(41)(下図)です。ドラは淡いグレーを背景色に、白い顔で黒のドレスをまとっています。まぶた、唇、爪、胸元に彩色が施されていますが部分です。

これらが白地にゆったりと置かれています。抑揚のある書体からは優雅さ。無彩色が多くを占める彩色からは、神秘性が広がります。

パブロ・ピカソ《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》(41)1936年

○巻頭には試し刷りを前にピカソと向き合う、《黄色のセーター》(47)を背にベンチに腰を下ろすベルクグリューンのスナップショットがあります。

○挟み込み・観音開きで、「ベルリン国立ベルクグリューン美術館の紹介」があります。美術館の外観の画像に4ページが割かれています。

W150mm × H250mm/ 8ページ/ 日・英

○カタログの扉には《黄色のセーター》(47)(下図)の部分拡大が使われています。それぞれの作品は左ページに解説、右ページに図版と見開きで1点が紹介されています。

パブロ・ピカソ《黄色のセーター》(47)1939年

うち、部分拡大が添えられている作品は9点あります。《グラスとトランプカードのある生物》(24)と《トランプのカード、煙草、瓶、グラスのある生物》(26)(下図)は、左右のページに向き合ってあります。

《大きな横たわる裸婦》(49)と《ジンジャー・ブレッドの絵》(71)(下図)などは見開きで1点です。前者は逆L字に余白を取り、ノートリミングで全体を見せています。後者は余白を取らずに紙面を埋め尽くし大迫力です。

ハードカバー/ W192mm × H300mm/ モノクロ・カラー/ 364ページ/ 日・英
価格:2,800円(税込)

ピカソとその時代展の会場・巡回先はここ

国立西洋美術館(東京・上野公園)

〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
Tel. 050-5541-8600(ハローダイヤル)
Fax. 03-3828-5135
info@nmwa.go.jp

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国立西洋美術館の公式サイト。展覧会・イベント情報、所蔵作品紹介、ショップ・レストランご利用案内など。

会期
2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)
開館時間
9:30~17:30(金・土は20:00まで)
※入室は閉室の30分前まで

休館日
月曜日、10月11日(火)、12月30日(金)~2023年1月1日(日)、1月10日(火)
※ただし、10月10日(月・祝)、2023年1月2日(月・休)、1月9日(月・祝)は開館 

アクセス
○JR「上野駅」下車(公園口出口)徒歩1分
○京成電鉄京成「上野駅」下車 徒歩7分
○東京メトロ銀座線、日比谷線「上野駅」下車 徒歩8分

国立国際美術館(大阪)

〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
Tel. 06-6447-4680

https://www.nmao.go.jp

会期
2023年2月4日(土)~ 5月21日(日)

開館時間
10:00~18:00(金・土〜20:00)
※入場は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(2023年5月1日は開館)

アクセス
最寄駅から
○京阪
中之島線「渡辺橋駅」2番出口より南西へ徒歩約5分
「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○Osaka Metro
四つ橋線「肥後橋駅」3番出口より西へ徒歩約10分
御堂筋線「淀屋橋駅」7番出口より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
○JR
大阪環状線「福島駅」/東西線「新福島駅」2番出口より南へ徒歩約10分
「大阪駅」南西へ徒歩約20分
○阪神
「福島駅」3番出口]徒歩約10分
○阪急
「大阪梅田駅」南西へ徒歩約20分