仙厓義梵の読み方は?その生涯と画業は?禅画の○△□や犬を徹底解説!

仙厓義梵は、江戸時代後期の臨済宗の禅僧です。九州・博多で活躍し、ユーモラスな禅画を数多く残しました。

仙厓義梵の読み方

仙厓義梵は、「せんがいぎぼん」と読みます。仙厓は1750年に、美濃国(現、岐阜県)の農家に生まれます。11歳の頃、地元の清泰寺(せいたいじ)で、臨済宗古月派に属する空印円虚(くういんえんきょ)のもとで出家し義梵(ぎぼん)の僧号を得ます。

《自画像画賛》 

九左か
また
はか云

御出家ハみなせんかいの
世の中に
只お一人の筆ほしにそ
おもふ

40歳で「扶桑最初禅窟(ふそうさいしょぜんくつ)」と呼ばれる、九州・博多の聖福寺(しょうふくじ)の第123世住持(じゅうじ)になりました。

62歳で、弟子の堪元等夷(たんげんとうい)に住持を譲り、虚白院(きょはくいん)に隠棲します。「死にとうない」と言葉を残し、88歳でその生涯を閉じました。

仙厓禅画

仙厓は禅をテーマにした禅画を多く描きました。仏画や祖師図(そしず)、禅の悟りの契機や極意を描いた禅機図(ぜんきず)があります。また、日々目に留める風俗や動植物に、禅の教えを重ねました。

《指月布袋画賛(しげつほていがさん)》 

を月様
幾ツ
十三七ツ

仙厓が40代に描いた作品からは、狩野派風の画法が認められ、細密描写を目指していたことが分かります。

《南泉斬猫画賛(なんせんざんみょうがさん)》 

文人画家浦上春琴(うらかみしゅんきん)から、禅僧雪舟は画技に優れていたため画僧として覚えられたと忠告を受け、画法を手放したと言われています。62歳の隠棲後にはユーモアが強調されました。

《切縄画賛(きれなわがさん)》

切れ縄に
口は無けれと
朧月

73歳のとき、仙厓の画には決まった法が無いと「厓画無法(がいがむほう)」を宣言し、より自由奔放な作品に移っていきました。

83歳のとき、絶筆と石碑に彫りましたが、揮毫(きごう)を求める者は絶えません。88歳でその生厓を終えました。

仙厓和尚○△□

東京・ワタリウム美術館で開催の「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」に、《○△□》の映像展示がありました。鈴木大拙(すずきだいせつ)は仏教学者で、禅についての著作を英語で著し、日本の禅文化を海外に広く知らしめました。

ワタリウム美術館|WATARI-UM
ワタリウム美術館は2020年に開館30周年を迎えた、現代アートの私設美術館です。

並んで、ロシアの画家カジミール・マレーヴィチの《黒の正方形》(下図)も現れました。黒い正方形があるだけの作品です。

マレーヴィチは、描写対象のない幾何学的抽象画を描きシュプレマティズム(至高主義)を提唱しました。この正方形は絵画理論の具現です。展示の位置付けは禅からの発想でしょうか。

一円相画賛(いちえんそうがさん)

一方、仙厓の作品に《一円相画賛》(上図)があります。賛には、

これくふて
茶のめ

とあります。円を一筆で描いた一円相(いちえんそう)は、禅の悟りの象徴とされます。仙涯は「○」を饅頭に見立てることで、到達した境地を一旦反故にして、再開を促すという独自の解釈を描きました。抽象画ではなく禅画です。

《○△□(まるさんかくしかく)》

《○△□》(上図)には、「○」「△」「□」が、わずかに重ねて置かれています。墨の濃淡は「○」が濃く次第に薄くなります。図形の重なり具合を見ると「□」が最下にあります。左から「□」「△」「○」の順に描かれたようです。

単なる落書きと一蹴されないのは、禅画と考えられるからでしょう。他の作品のように賛がないので、仙厓の意図するところはミステリアスです。

しかし仙厓の著作に、それらしい記述が潜んでいました。「△」を修行途中、「○」を修行完成後の自身に例えています。

残る「□」を修行以前とすると、悟りに至るステップと考えることができます。次第に濃くなる墨の階調もなるほどと納得できます。仙厓はここまでの生涯を、「○」「△」「□」を用いて象徴的に表したのかもしれません。

仙厓犬

仙厓の時代も、子犬は「きゃん/\」となきました。背から尾に向かうラインと、右後ろ足の前方が太く描かれています。どちらのラインも、多少の歪みを含み子犬の存在感を際立たせています。

《狗子画賛(くしがさん)》

両目は内向きにはねた点で、両前足には小さな爪も描かれています。鼻の付け根や顔の輪郭、右足の後部から尾の下部は、細く短いラインを並べることで、毛並みを表します。一見ゆるそうですが素人の手ではありません。

禅宗においての犬は、仏性の有無を問われる議論「狗子仏性(くしぶっしょう)」に登場するように重要な生き物です。

子犬は首に紐を巻かれていますが、その先にある杭は地面から抜けています。自由にどこへでも行けるはずですが、気づかずにその場にとどまっています。仙厓は愛らしさだけではなく、シリアスな状況を端的に描きました。

仙厓展2022

仙厓ワールド―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―

永青文庫
〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-1
Tel. 03-3941-0850

会期
2022年5月21日(土)~7月18日(月・祝)

開館時間
10:00~16:30(入館は16:00まで)

休館日
月曜日

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会期
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