特別展アリス2022に行ってきました!原作の『不思議の国のアリス』と、そこから派生したアート・映画など約300点が一堂に会します!

「特別展アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」は、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が企画する世界巡回展です。原作の『不思議の国のアリス』と、そこから派生したアート・映画・演劇・ファッションなど約300点が一堂に会します。

アリス展2022の感想と解説!

1.アリスの成立

○ルイス・キャロルとは、オックスフォード大学クライスト・チャーチの数学教員で写真家でもあった、チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンのペンネームです。

ドジソンが撮影したアリス・リドゥルの写真(10)1858年

キャロルは、クライスト・チャーチの学寮長の次女アリス・リドゥル(上図)たちとボートで遠出したとき、即興で空想物語を聞かせます。帰り際に、アリス・リドゥルから今日の話を本に書くよう求められました。

ルイス・キャロル『地下室の国のアリス』手書き本の表紙(2)1862〜1864年

ドジソンは翌々年に、彼女を主人公にした手書きの本『地下の国のアリス』(上図)を作りプレゼントします。この本に加筆をし、風刺漫画雑誌『パンチ』で知られていたジョン・テニエルに挿絵を依頼し『不思議の国のアリス』として出版しました。

ジョン・テニエルによる『不思議の国のアリス』の下絵(14)1865年

○今回のへんてこりんは、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が企画する世界巡回展です。

Alice: Curiouser and Curiouser - Exhibition at V&A South Kensington · V&A
This immersive and theatrical show charts the evolution of Alice's Adventures in Wonderland from manuscript to a global phenomenon beloved by all ages.

アリスと並びドードーの複合骨格、ハンプティ・ダンプティのじゃばら絵など、ヴィクトリア朝時代の収蔵品も多く展示されています。アリスを生み出した時代背景の一部を、垣間見ることができます。

さらに、ディスプレイやプロジェクションマッピングが随所に現れ、アリスに連れられ不思議の国を散策しているようです。

オックスフォード大学を思わせる本棚(上図)に始まり、天板から枝を延ばす八角形のガラスケース。天井にテニエルのフラッグを飾り、幾重にもドアが重なる通路(下図)。突き当たりのドアには覗き穴があります。アリスを閉じ込める小さな家、近づくと首を伸ばすアリスの額絵など。

グレーの壁に両目が映り、ロングヘアのシルエットが重なります。青いリボンに黄色の髪と彩色されたアリスの顔になります。目から涙があふれだし床を濡らします。やがてアリスは消え一面は青く染まります。床に目を移すとアリスとネズミのシルエットが、床をゆらゆら泳ぎます(下図)。

円柱の柱のある一角は、ブリジット・ライリーを思わせる、白地に黒い線のうねりで埋めつくされています。樹木のように見えていた柱の線が動き出し、チェシャー猫が大きな顔を覗かせ、蛍光色で発光しはじめます(下図)。

12人掛けのテーブルに、白いティーセットが並べられています(下図)。部屋の角には、椅子が無造作に天井まで積み上げられています。積まれた椅子の辺りから、白い布が煙のように立ち上り壁を横につたっていきます。今にも何かが起こりそうな「狂ったお茶会」です。

これもまたプロジェクションマッピングで、しばらくすると白地のティーセットや布がカラフルな模様におおわれます。時計の文字盤がごそっと現れ(下図)、白うさぎがポケットから取り出した懐中時計を思わせます。

舞台デザイナー「トム・パイパーによるV&A展示イメージ図」(1)と、公式書籍にあります。しかしこれらは、展示作品ではないようです(驚)。

3. 新たなアリス像

マックス・エルンスト《クィーンと戯れるキング》(77)1944年

サルバドール・ダリ《マッド・ティー・パーティー》(78)1969年

ラルフ・ステッドマン『不思議の国のアリス』より白うさぎの挿絵原画(82)1967年

○2019から20年にかけて、静岡、神戸、新潟で「不思議の国のアリス展」が開催されました。

両『アリス』を出版している現役挿絵画家から、『不思議の国のアリス』を、チャールズ・サントーレ、ヘレン・オクセンバリー、ロバート・インペンら3人が。

『鏡の国のアリス』を、ラルフ・ステッドマン、ジョン・ヴァーノン・ロード、バリー・モーザー、アンヘル・ドミンゲスらの4人がリレーでつなぎました。私はひとりも知りませんでした(笑)。ステッドマンは今回再登場です。

ピーター・ブレイク画《これってすごおい!》(83)1970年

ブリジット・ライリー《無題》1965年

○チェシャー猫と愛想のよいライリーの幾何学模様。

ティム・ウォーカー《巨大化したアリス》(98)2017年

アリス展2022の公式書籍をデサインマニアが分析!

○表紙(上図)は、アイスランド出身の女性作家クリスチャーナ・S・ウイリアムズの《黄金の午後》が飾ります。手前にあるアリスや花や鏡などは、透明な盛り上がりを見せるバーコ印刷です。

欧文タイトル「ALICE CURIOUSER AND CURIOUSER」は、2行に分けて円弧に沿った表記で置かれています。シルバーの彩色は、角度によって色が変わるホログラム箔が用いられています。

これらの特殊印刷はカバーだけではなく、同じデザインの本体にも施されています。

○前半にクリスチャーナ・S・ウイリアムズの作品が23点あります。うち22点は見開きです(驚)。会場に展示されていたのは6点だけでした(下図)。ゆったりと広い紙面に載った、緻密でカラフルな作品に何度も目を射られます。

しかし、作品の扱いではないようでクレジットがありません。作品のあいだあいだに、見開きで薄黄色とピンクのように異なる色のページがはさまれています。ページには「DOWN THE RABBIT-HOLE」のような一文が、ここでも円弧に沿って表記されています。

クリスチャーナ・S・ウイリアムズ《うさぎ穴落下》2020年

また、小さな穴が開けられ、下に重なるページの一部が覗いているようなデザインがしてあります。一文は穴から覗く作品のタイトルのようです。でしたら、色のページは12ありますので、12タイトルを知ることができます。

○ロンドン展をもとに制作された書籍の日本語版です。会場ごとに展示がアレンジされているためか、作品の全てが掲載されてはいませんでした。ドードーの複合骨格などのヴィクトリア朝の品々や、金子國義・酒井駒子・ヒグチユウコ(下図)をはじめとする一部の作家はありません。これらは会場で脳裏にしっかりと掲載します。

ヒグチユウコ 《落下するアリス》2010年

ハードカバー/ W240mm × H300mm/ モノクロ・カラー/ 224ページ
価格:3,410円(税込)

Bitly

アリス展2022の混雑状況は?

私は平日の午前中に入館しましたが、空いていました。

ビッグデータから

「特別展アリス—へんてこりん、へんてこりんな世界—」をビッグデータから解析するサイトを見ます。

https://komu.artafterfive.com/exhibition?a=516

グーグルマップから

混雑状況は、グーグルマップの左カラムにある「混雑する時間帯」で、曜日ごとに知ることができます。下方にあるマップから「拡大地図を表示」か、グーグルマップで「森アーツセンターギャラリー」「あべのハルカス美術館」を検索して開きます。

アリス展2022の所用時間は?

90〜120分

私は11:43から14:02で鑑賞しました。

アリス展2022のチケットはいくら?

東京会場

平日
一般2,100円/ 大学生・専門学校生1,500円/ 高校生1,300円/ 小中生700円

土日祝
一般2,300円/ 大学生・専門学校生1,700円/ 高校生1,500円/ 小中生900円

※事前予約制(日時指定券)を導入。枠に余裕がある場合、当日会場での購入も可能。
※未就学児は無料。日時指定券の購入は不要。
※障がい者手帳の持参者および付き添い者1名までは、各料金の半額。会場3階チケットカウンターで購入(当日分のみ可)。

大阪会場

当日
一般1,800円/ 大高生1,400円/ 中小生500円

前売・団体
一般1,600円/ 大高生1,200円/ 中小生300円

※未就学児入場無料
※価格は全て税込
※団体は15名以上
※前売券、下記企画チケットは9月17日10:00から12月9日(金) 23:59まで販売
※障がい者手帳を持参者は、美術館チケットカウンターで購入した本人と付き添いの者1名様まで当日料金の半額

○お得!楽しい!企画チケット
ペア券(一般2枚組)
3,000円(税込)

※ローソンチケット、チケットぴあ、イープラス、セブンチケット、CNプレイガイドにて12月9日(金)まで販売

○関連イベント企画チケット「みんなでAlice Party !」
閉館後に実施する非売品ポスター&展覧会オリジナルグッズ付のプレミアムな貸切鑑賞会。
100名限定。

12月17日(土)18:00~20:00
3,000円(税込・一般のみ)

※ローソンチケット、イープラスにて販売
※当日ミュージアムショップは18:00に閉店
※音声ガイドの貸し出しはない

アリス展2022の会場・巡回先はここ!

東京会場

森アーツセンターギャラリー
〒106-6131 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
Tel. 050-5541-8600(9:00~20:00 / ハローダイヤル)

会期
2022年7月16日(土)~10月10日(月・祝)

開館時間
10:00~20:00(月・火・水曜は18:00まで)
※7/18、9/19、10/10は20:00まで
※最終入館は閉館30分前まで
※会期・開館時間は変更の可能性あり。来館前に必ずオフィシャルサイトで確認。

特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界― 公式サイト
ふるさと英国から、160年にわたる「アリス」の文化現象をたどる初の大規模展「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」公式サイト。2022年、東京と大阪で開催。

休館日
会期中無休

アクセス
東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口、徒歩3分(コンコースにて直結)
都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口、 徒歩6分
都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」7出口、徒歩9分
東京メトロ南北線「麻布十番駅」4出口、徒歩12分
東京メトロ千代田線「乃木坂駅」5出口、徒歩10分

大阪会場

あべのハルカス美術館
〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
Tel.06-4399-9050

会期
2022年12月10日(土)~2023年3月5日(日)

開館時間
火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00
※入館は閉館30分前まで
※会期・開館時間は変更の可能性あり。来館前に必ずオフィシャルサイトで確認。

特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界― 公式サイト
ふるさと英国から、160年にわたる「アリス」の文化現象をたどる初の大規模展「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」公式サイト。2022年、東京と大阪で開催。

休館日
2022年12月12日(月)、31日(土)、2023年1月1日(日)

アクセス
近鉄「大阪阿部野橋駅」、JR・地下鉄「天王寺駅」、阪堺上町線「天王寺駅前駅」下車すぐ

あべのハルカス美術館にアクセス! JR・御堂筋線「天王寺駅」 から! 
JR・御堂筋線「天王寺駅」 から、あべのハルカス美術館・ハルカス300(展望台)まで、多くの画像を交え案内します。